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学習性無力感を克服するためのヒント

Blog post 028

 

学習性無力感

「学習性無力感」とは、努力を重ねても望む結果が得られない経験・状況が続いた結果、何をしても無意味だと思うようになり、不快な状態を脱する努力を行わなくなることを言います。 
 
 
具体的には、 
 
・会社で新企画を何度提出しても却下され続け、どんなに残業して努力しても状況が変わらない場合
・寝る時間を惜しんで必死に受験勉強しているのに、模試の結果がまったく良くならない場合 
・家庭においてもDVや虐待、学校では継続的に「いじめ」を受けた場合 など 
 
 
「どうせ何をやっても変わらない」「このストレスからは抜け出せない」と認知し、うつ的な症状がでることがあります。 
 
 
学習性無力感は、米国の心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した心理学理論で、犬に電気ショックを与える実験で証明しました。 
電子音が鳴ったあとに犬がジャンプすれば電気ショックを回避することができる装置になっていて、実験に参加する犬を3つのグループに分け、あらかじめ次のような経験をさせます。 
 
 
1:事前に何をやっても電気ショックを回避できないと経験したグループ 
2:事前にパネルを押すことで電気ショックを回避できる経験をしたグループ 
3:事前に何の経験もしていないグループ 
 
 
その結果、
1のグループは回避行動をとる率が極めて低かったことから、事前に「何をやっても回避できない」と経験してしまったために「何をしても無駄だ」と学習し、行動を起こさなくなると結論付けました。 
 
 
では、この学習性無力感から抜け出す方法はないのでしょうか。 
学習性無力感とは「どうせ何をやっても無駄だ」と無力感を学習してしまうことです。 
であるならば、「自分の行動には意味がある」という正反対の学習をすれば良いということになります。 
 
 
その方法は「小さな成功体験」を積み重ねることです。 
たとえば、ちょっとした目標を立ててそれを実行し、できたら記録に残すというようなことです。 
勉強で行き詰まっていたら、自分の得意教科の簡単な問題を解くことからはじめ、できたら記録しておきます。 
そうすれば「何をやっても結局無駄だ」というささやきが聞こえても、記録を見返すことで無力感は軽減します。 
 
 
また、環境が変わっても無力感だけが学習されたまま残るという問題もありますので、環境が変わっていないか自問自答しながら確認するという方法もあります。 
 
1 無力感を感じた状況と今は同じか 
2 相手は同じか 
3 環境は同じか 
 
変わっているのなら、また同じことを繰り返すとは限りません。 
 
 
誰しも「何をやっても無駄だ」と諦めの体験はあるものです。 
そんなとき「学習性無力感」の存在を知っているだけでも、無力感に陥るのを予防する効果はあるのではないでしょうか。