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松下幸之助の人づくりの原点

Blog post 038

 

人づくり原点

昭和初期、まだ松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が中小規模だった頃の話です。 
ある幹部社員が寄り合いに出かけ、たまたま隣に座った人と名刺交換をした際、「松下電器さんは何をつくっている会社ですか」と聞かれました。 
その社員は当然ながら「電気製品をつくる会社です」と答え、社に帰ってそのことを社長(松下幸之助)に報告したのです。
 
 
事の次第を話すと、松下幸之助は「そうか。君どう答えたんや?」と聞くので、「そりゃ社長、ちゃんと電気製品つくる会社と答えておきました」と報告したのです。 
その幹部社員は報告しながら、社長はきっとこう言うだろうなと思ったそうです。 
 
「そうか。うちはまだ会社の名前を聞いただけではピンと来てもらえんか。残念やな。会社の名前を聞いたらすぐ何をつくっている会社か分かってもらえるように、これからしっかり頑張らないかんな」と・・・
 
 
しかし、幸之助の答えは全く違ったのです。 
「なに?君は松下電器は電気製品をつくる会社と答えたのか。その答えは僕の考え方と違うな」と。
報告した社員は、思わず「社長、それはどういう意味ですか?」と聞きました。 
 
 
その時の答えは、まさに松下幸之助の人づくりの原点でした。 
 
 
君な、知識も大事やで。
難しいこともいっぱい知っている。
新しいことも知っている。
いろいろと専門的なことも知っている。
高度なことも知っている。
知識ももちろん大事や。技術も大事や。
あるいは資格を取るということも誠に大事や。
しかしな、知識も技術も資格も、全て人生の道具にしか過ぎんのや。
どんな立派な道具をそろえても、それを使う本人が人間として立派になってこないからには、絶対にええ仕事はできんのや。
松下電器は電気製品をつくる前に、人をつくる会社や。
 
 
・・・こう言ったのです。 
それだけではなくて「君、言い直してこい」と。 
その幹部社員は困ったそうですが、社長(松下幸之助)の言葉が心に響いたそうです。 
 
 
たしかに、どんなに素晴らしい製品があったとしても、信用できない人からは買いたくないと思うものです。松下幸之助の「人をつくる会社」とは、人としての魅力を高めるという努力を根底に置かなければ、あらゆる知識や技術は生きてこないということなのでしょう。 
経営の神様は、こんな教えを後世に残してくれました。