HOME | ブログ | blog011

褒めるより、子どもに感謝を伝える教育法

Blog post 011

 

感謝を伝える

「よくできたね」と褒めるのではない。
「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えるのだ。
感謝される喜びを体験すれば、自らすすんで貢献を繰り返すだろう。 
 
 
これは、精神科医で心理学者でもあるアルフレッド・アドラー(故人)の言葉です。 子供の自主性(自ら動く子供)を育てないなら「褒める」より「感謝」を伝えることを唱えたものです。 
 
 
一般に子供は「褒めて育てる」のが良いということは、今や子を持つ親の共通認識となっているのではないでしょうか。 
 
 
子供も親から認められたいという強い気持ちを持っています。 
そのため、自分の行動を「よくできたね」「すごいね」などと褒められると「これはお母さんにとって良いことをしたんだな」と学習し、もっと期待に応えようをします。 
 
 
しかし、その根底には「褒められたい」という気持から行動を繰り返すだけで、
「褒められる」回数が減ってくると、次第に自主的に行動を起こさなくなるでしょう。 
 
 
アドラーの論理では、親や学校の先生などが子供との「共同体」感覚を高めるためには、「自己信頼」と「他者信頼」の体験を積ませることから始めなければならないと言っています。 
 
 
具体的には子供に協力を求め、それに対して「感謝」の言葉を伝えるのです。 感謝されれば誰でも嬉しいものです。 
そして自分が行った貢献に対して感謝が返ってきたときに、人は初めて「自己効力感」=「自分にもできたという自信」が満たされ、自己信頼を感じます。 
 
 
同時に相手に対しても信頼感を持つ。 
すなわち、他者信頼も芽生えるのです。 
 
 
「感謝する」のと「褒める」のは違います。 
例えば、子どもが何かお手伝いをした時に「えらいね。よくできたね」と褒めるのと、「ありがとう。とっても助かったよ」と感謝されるのとでは、受け取る際の印象が違うことがおわかりでしょう。 
 
 
 そう、 
 
「ほめる」は上から目線、 
「感謝」は横から目線 
 
なのです。 
 
 
現に、部下が上司に「よくできましたね」と褒めることはしませんね。 
なぜなら、「褒める」は上からの物言いであり、かつ、相手に対する「期待感」がないことが前提となっているからです。 
 
 
「褒める」教育が「悪」であるということではありません。 
以前、「子供を褒めて伸ばすーある父親の対応」で「褒める」ことの重要性について触れました。
 
 
 時と場合によって「褒める」ことも大切であることは言うまでもありません。 
しかし、横から目線で「感謝される」ことの方が「自己信頼」と「他者信頼」には、はるかに有効であり、自律性や主体性を育んでいくということです。 
 
 
貢献と感謝の体験を増やすことが「共同体」感覚を養う上で最も大切なことなのです。