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条件付きの教育(躾け)は危ないーアメの効果

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躾

「今度のテストで100点取ったら、ゲーム買ってあげる!」 、「通知表の算数5を取ったら、お小遣い1000円アップ!」 
 
 
このように、ある条件(アメ)をつけて、子供の行動を促すよう発言したことはありませんか。少なくとも、一度や二度はこういった経験があるのではないでしょうか。 
 
 
実は、この「アメ(またはムチ)」による行動コントロールは、多くの問題を孕んでいます。ある興味深い実験による検証結果がありますので、ご紹介します。 
 
 
マウスをT字迷路に置いて、右ルートには「クッキー(アメ)」、左ルートには軽度の「電気ショック(ムチ)」をセットします。 
何回か行動を経るとマウスは常に右側のルートへ進むようになります。
 
 
しかし、実験を続けていると、次第に飽きが来て「アメは当然もらえるもの」という心理状態から、行動意欲が停滞し怠慢な気持ちが芽生えてくるというものです。やる気が維持できなくなったという検証結果です。 
 
 
また、幼稚園児を対象とした実験でも同じような報告がなされています。 
幼稚園児をA・Bの2グループに分け、絵を描いてもらう。ただひとつAグループには条件をつけます。
 
・Aグループ:ご褒美をあげるという条件を提示 
・Bグループ:特に条件提示せず自由に描かせる 
 
その結果、Aグループでは、絵を描く時間が減少し、絵を描くことへの興味自体がなくなる子供が増えたのに対し、Bグループは絵を楽しんで描き続けたという結果だったそうです。 
 
 
大人の立場から考えますと、これは予想していたことと逆の結果になったと思われるでしょう。 
ご褒美をもらえると言われたAグループの方が、積極的に絵を描くだろうと想像します。 
 
 
しかし、マウスの実験でも分かるように、アメで行動をコントロールすることによって、コントロールされた人間の行動意欲や積極性、創造性などが奪われる(減退する)こととなるというものです。 
 
 
時として「アメ」は、大人が「こうして欲しい」という欲求に対し、一時的に効果を発揮します。子供も「アメ」が欲しいわけですから、その時は努力し期待に応えることもあります。 
 
 
しかし、その行動はあくまでも「アメ」が目当てであって、子供自身の自発的行動ではない訳です。そこには自律的な考えや、その行動を楽しむといったことが欠如してしまう。 
 
 
人間の行動に対する動機(=モチベーション)には、「外発的モチベーション」「内発的モチベーション」があります。 
 
前者は頑張ることで物質的な報酬や評価を得ようとする意欲であり、後者は行動自体に充実感や使命感を感じて頑張ろうとする意欲です。 
 
 
実のところ人間は、内発的モチベーションで行動している時の方が継続的に意欲が高く、成果も高いことが分かっています。 
 
 
時と場合によって「アメ(またはムチ)」にも効果があるのかもしれません。しかし、少なくとも子供視点に立たない「アメ」は、大人の都合のいい「道具」にしかならず逆効果のリスクが高いと考えられます。 
 
 
何よりも子供に気づきをあたえ、自律性を促すことこそが行動意欲を高め真の成長につながるのではないでしょうか。 
 
 
 あくまでも、私の考えですが・・・