フィンランドの「いじめ防止プログラム」
先日、「道徳の教科化」について、そのきっかけが「いじめ」問題にあるという記事をかきました。
道徳を教科化することによって「いじめ」が根絶するのであれば、それはいいことですが、現実問題としてそうはいかないでしょう。
「いじめ」はどうしてなくならないのか、なぜ、学校でこれほど頻繁に「いじめ」が起きるのか・・・要因はいろいろあると思います。
・子供達の成長過程における心理的要因
・今の日本の学校のシステム構造に関する要因
(管理と競争社会によるストレス)
・過剰消費社会の影響
(際限のない欲望による努力・忍耐の希薄化)
・社会規範の低下
(規範意識の低下による攻撃行動の表出)
・情報社会の影響
(密室性による不信感や不安感の助長)
・子供の体験の欠乏による影響
(根気強さ努力の価値が減少)
「いじめ」の要因と対策については、いろいろな方面で研究がなされていますが、今後も「いじめ」を完全に「ゼロ」にすることは難しいと言われています。
であるならば「いじめ」が発生した場合に、それを拡大させない、または早期に収束させる方策が必要となってきます。
教育先進国のフィンランドには「いじめ問題」に大きな効果を出している
「kiva(キバ)」という「いじめ防止プログラム」があります。
これはフィンランド政府の要請で開発されたプログラムで、母国の初等教育機関に導入されているだけでなく、イギリス、オランダ、アメリカなどでも採用され、目覚ましい効果を上げています。
このプログラムの注目すべき点は、「いじめ」が発生した場合「傍観者」に焦点を置いた戦略であるというところです。
反撃できない相手を対象とする「いじめ」の構図は、少ないリスクでグループ内(クラスなど)の「傍観者」たちに力の誇示ができます。
そして多くの場合、その行動は「傍観者」によって好意的に取られ、加害者の地位向上に繋がります。
逆に、もし「いじめ」を通じて力を誇示しても「傍観者」たちが否定的反応を示せば、戦略としての「いじめ」の価値が減り「いじめ行動」は継続しずらくなります。
さらに「傍観者」たちが、被害者に対して協力的姿勢を示せば、「いじめ」はもやは愚策となり続かないのです。
したがって、KiVa(キバ)は「イジメの存続は傍観者の反応で決まる」という考えにもとづいて「傍観者」たちへの教育を中心に行われます。
メソッドとして、
1 Universal action
傍観者のイジメへの否定的姿勢およびと被害者への協力的姿勢を確実なものとする教育
2 Indicated action
傍観者への教育によるイジメ対策と防止だけでなく、加害者と被害者たちへ直接的介入する教育
授業は90分/回を月1回、年間合計10回実施され、「いじめ」を防止するために、自分はどう行動すべきかを学びます。
また、実際にいじめが発生したことを想定し、傍観者にならない方法、被害者の悲惨な状況、被害を伴わず被害者に協力する方法などをゲームを通じて学習します。
日本では、このプログラムを導入する動きにはなっていないようですが、なにか抜本的な対策が
必要であることに間違いありません。